Category

脳梗塞で行われる治療


脳梗塞で行われる治療には、内科的治療と外科的治療があります。ただ、梗塞が起こって時間が経過をあまりにも過ぎてしまうと障害を受けて脳細胞は壊死してしまい損傷を受けた脳はもとには回復しません。

脳梗塞が完成してしまう前に血流が再開通したり、血管が詰まったままでも周りから血流が補われると完全な脳梗塞にはならずに済んだり、脳梗塞になっても最小限の障害で済んだりします。

麻痺などの神経症状が出てから間もない時は血栓や塞栓を溶かす薬を使ったり、微少な血液の循環を改善させる薬をつかったり、血栓や塞栓を出来にくくする薬を使ったりします。

こうした治療を内科的治療と呼んでいます。多くのケースで、内科的治療だけでもかなりの治療効果が期待できます。

外科的治療 完成してしまった脳梗塞はどのような治療をしても元通りにはなりませんが、血流が不足しているだけでまだ完全な脳梗塞になっていないような場合は血流が増えるような手術で脳梗塞を防げることがあります。

また、発症して間も無い時にはを使って詰まった血管の血流を再開通させることで症状を改善させることができる場合があります。

脳血流を改善させる手術で代表的なものは、頚部の頚動脈に対する血栓内膜剥離術とバイパス手術でしょう。これらの外科手術は主として将来の脳梗塞の発症や悪化を防ぐ目的で行われることが多く、病状が比較的落ち着いている時に行われることがほとんどです。脳梗塞が起こって間もない急性期に行われることは稀です。

血栓内膜剥離術 頚部の頚動脈にはしばしば動脈硬化によって狭窄(細くなる変化)が起こります。このため、脳へ行く血液が不足したり、動脈硬化の部分に出来た小さな血栓が塞栓になって脳の血管を詰めてしまうことがあります。
このような時に動脈硬化の部分を削り取って頚動脈の狭窄を治す手術です。実際に脳梗塞の症状がある場合で狭窄の程度が70%以上ある時は内科的治療よりも手術の方が勧められます。

症状が無いような場合でも狭窄の程度が60%以上の時はこの手術に熟練した脳外科医が行うのであれば内科的治療よりは手術の方が勧められています。

バイパス手術 脳の血管が詰まると普通は脳梗塞になりますが、時に脳梗塞にならずに助かっていることもあります。このような場合でも、助かった脳の血液が不足しているといずれ脳梗塞になってしまう恐れがあります。このような時に頭の皮膚の血管と脳の血管をつないで脳の血流を増やそうとする手術です。

1980年代におこなわれた国際共同研究で脳梗塞に対する予防的効果については内科的治療を上回ることはないという見解が出たため、最近では以前に比べてあまり行われなくなりました。

バイパス手術を行うことで血流が増えることは事実です。個々の患者さんの状況を注意深く調べてみると、中には内科的治療よりも効果が期待できるケースもあると思われます。そのため、脳血流の状態を詳しく評価した上で効果が期待できる時には行っています。